古き良き時代のオセアニア オーストラリア⑱
ダンピュエルの天然資源
西オーストラリア中央部の海岸に、鉄鉱石の積み出しで有名なダンピュエル港がある。ここからは、キンバリー鉱山の各種資源が輸出されている。
英国人船長ウィリアム・ダンピュエルが、1688年頃にこの地方を発見した時、彼は次のように表現している。
「地上最も不毛な土地を発見したとしても、その発見による喜びはあるものである。もし新発見でないとすれば、この海岸は、私にとってなんら興味のないものだ」
ダンピュエルの発見後、265年も経って、一見何もない荒野としか思われなかった褐色の大地が、鉄鉱石などの天然資源の宝庫となった。
その後、政府によって鉄鉱石の輸出が解禁され、1960年に鉄鉱石の市場開拓が生じ、日本の鉄鉱石業界からも調査団が派遣された。その結果、ダンピュエル近辺の岩山には、世界第一級の質と量の鉄鉱石があることが確認された。
オーストラリアの地下資源は、戦後米国の資本と技術による積極的開発協力と、日本の原料長期買付契約によって、太平洋経済圏における原料、燃料の供給源としての地位を確立した。
いったいどんな資源があるのか、主なものだけを記してみる。
金・銀・銅・鉛・亜鉛・鉄鉱石・ボーキサイト・ニッケル・マンガン・ウラニウム・石油・石炭・天然ガス・そして、新しい産業や宇宙衛星の生産に不可欠なレア・メタルの原料ルチル・ジルコン・イルメイト・それにオパール・ルビー・ジェスパー・タイガーアイなどの各種宝石、天然塩など。
開発ブームはまた労働力不足をもたらし、欧州、特に地中海沿岸諸国からの移民の奔流を促した。1940年には700万人の人口が、29年後の1969年現在は1200万人に達している。それでもまた労働力が不足し、賃金が年ごとにアップしている(2019年現在のオーストラリアの人口は2040万人)。