ミャンマー北部探訪㉙ ナガ族の町ラヘ 



 インド東北部のナガランドを2度訪ね、民族踏査をしたたので、ミヤンマー北西部の山岳地帯にあるミヤンマー側のナガ族の町、ラヘを訪れるために、カムティを訪ねた。

 カムティからラヘへの道は、山坂が多い悪路で乗り合いバスはないし、乗用車では無理だとのことで、ゲストハウスの英語の話せる女性事務員に頼んで、オートバイで行くことにした。

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オートバイで案内してくれたミンカツさん

 翌日の11月27日、午前7時、頼んでおいた35歳のミンカツ(ビルマ族)さんがオートバイでやって来た。ラヘへは僅か50キロだが、山坂の多い大変な悪路なので、約5時間要ると言うのですぐに出発した。

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朝もやの中、チンドウイン川の対岸に渡ったフェリーボートの上

 朝霧に包まれた静かなチンドウィン川をフェリーボートで対岸に渡り、シンデ村には9時45分に着いた。この村からすぐに山岳地帯に入り、山の中の道を上ったり、下ったりと大変な行程。

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谷底の川にかかる途中の橋

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峠の休息所にあるナガ族の小屋

 10時15分に、峠のボンドエ村に着いた。少し休憩することにして、村の小学校を見学した。子どもたちは大声で教科書を読んでいた。20分程休憩し、再びオートバイにまたがった。

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山を越える急な坂道

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山の上から見る谷底の道 これから下ってゆく

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峠にあった学校

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授業を受ける子供たち

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先生の話を聞く子供たち

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対面の山のジグザグ道路

 とにかく、山を幾つも越し、川をいくつも渡って、上ったり下ったりで平地は殆どない状態。オートバイの後ろで上下の振動は激しく、ヘルメットを被り、運転手の腰をしっかり握った。変化の激しい道を4時間以上も走り続け、午前11時20分、大きな谷の丘のようになった、少々平地がある、立地条件の良いところにできたラヘの町に着いた。

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遠くに見えてきたラヘの町

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”ラヘ”の標識

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山の東斜面にあるラへの北側

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ラへの中心地

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ラへの南側にあるナガ族の家

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茅葺のナガ族の古い家

 まず町中の仏塔のある小高い丘に上って町全体を眺めた。町の中心にはコンクリートの家もあるが、大半が木製の小さな家で、文明地から遠く離れたこんな山の中に、こんな大きな町があることが不思議であった。しかし、ビルマ戦線において、ナガランドのコヒマ攻略のために、日本軍はここにもやってきていた。私は、ナガランドと同じ人々が住んでいるこの町の現状を見るためだけにここまでやって来た。

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ラへの中心近くにある丘の上の仏塔

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丘から見た中心近くの運動場

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ラへ中心地の南側の緩やかな谷の中にある家

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丘から見たラへ中心地域

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薪を運ぶ婦人

 ミンカツさんと2人で町を見て歩いた後、12時過ぎから、町の中央部にある、運動場近くの食堂に入って昼食をした。ここで英語の話せるナガ族のダビド・アキン(34歳)さんに会い、いろいろ情報を得た。

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物を入れて運ぶかごを背負った老婆

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ラへ中心地の食堂

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ラへの食堂で食べたナガ料理

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食堂であったダビド・アキンさんと筆者

 ラヘは4地区に分かれており、人口は約6千人で、殆どがナガ族。インドのナガランドとの国境までは45キロだが、その間殆ど車の通れる道はないと言う。

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ラへ中心地のモダンな家

 ここは国境に近い町なので、ミャンマー政府が、ナガ族をミャンマー化するために学校でミャンマー語を教えているそうだ。仏教徒が多くなっているが、本来アニミズムで、1月にはナガ族の大きなフェスティバルがあると言う。

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中心地にあるナガ族の祭り会場

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小屋の中の大きな木製太鼓

 彼と話している内に天候がおかしくなった。外に出て再び町を見ていると雨が降り始めた。小雨降る町を見て歩き、2時前には、ラヘを出て帰路に着いた。

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山の上から見たラへの中心地域

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ラへを見下ろす山の上に立つ筆者

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案内してくれたミンカツさんと彼のオートバイ

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帰る途中、ラヘ近くの路上にいた牛たち

 なんと言っても4時間以上は要るので、オートバイで急いだが、途中工事中であったり、フェリー待ちなどがあり、6時前には暗くなった。

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帰る途中道路工事に会い、暫く待たされた

 暗くなってからチンドウィン川を渡り、午後6時半、ゲストハウスにやっと無事にたどり着いた。彼に約束の8万チャット(約7,000円)を払って別れた。往復9時間近くもかかったラヘへのオートバイの旅は、心身ともに疲れた。