トルファンのぶどう(1979年9月)
トルファン盆地は、8、9月を除いて1年中雨は降らないが、天山山脈の雪解け水を426本もの地下水溝で引いて、いつでも水が豊富であり、日照量に恵まれているので、農産物、特にぶどうには大変な好条件で育ち、トルファンの特産品になっている。
トルファンには約2万ヘクタールの農地があり、そのうち約1533ヘクタールがぶどう畑。
トルファンのぶどうには、ビジャケとかサイワと呼ばれる大型の食用のものなど8種類あるが、中でも“キシミシ”と呼ばれる種なしぶどうは、シルクロード時代の古くからよく知られた有名なぶどう。
キシミシのレイズンである“干しぶどう”は、米飯に混ぜて食べる中央アジアの諸民族だけでなく、全アジア大陸にくまなく商品化されていた。
キシミシと呼ばれる種なしぶどうは、今から1700年ほど前にトルファンで発見された、世界的にも大変珍しい品種で、種子繁殖ではなく挿し木繁殖である。他の地域では栽培できないそうで、特産中の特産であり、現在、キシミシのレイズンは日本にも輸入されている。