ミャンマー北部探訪⑱ ラーショーの温泉と田園風景
ラーショーには温泉があるというので、着いた日の午後4時から、三輪タクシーを雇って行って見ることにした。旧ラーショーの中心街にあるホテル前の坂道を下って、西方の新市街を通り抜けて、大きな道を7~8キロ進んだ右側に、“ラーショー温泉”と英語で表記された看板と門があった。
そこを右折して小道に入り、田園地帯を3~4キロほど進んだ所に小さな森があった。温泉はそこにあり、入場料3米ドル払って森の中に入った。
温泉は、森を通り抜けた田園の中のやや低い所にあり、長さ200メートル、幅3~40メートルの池になっていた。その低い方の一番端をコンクリートで仕切り、長さ20メートル、幅10メートルくらいのプールのようにしている所が入浴場所。
入浴場の近くの平地は歓楽地のようになっているので、現地の人が多く訪れているが、外国人も入場料を払えば自由に入れる。広場の椅子に座って歓談したり、飲食している人、温泉に入っている人、岸辺で洗濯している人もいる。池の岸辺で洗濯しているのであまり感じは良くないが、はるばるこんな遠くまで来た思いがあり、記念にと思い、パンツ一枚になって入口近くの方で温泉に入った。
中は階段になって段々深くなり、3段目以下は背が届かなくなった。反対の広場のある方が段は緩やかで、現地の人はそちらで浸かっている。水温は40℃以上もあるようでかなり熱く感じられたが、泳いでいる人もいた。
15分ほど肩まで浸かっていたが、熱くなって外に出た。岸辺のコンクリートの上に座って、しばらくの間大汗をかいた。
温泉からの帰り、日本と変わりない爽やかな夕暮れに、田園の中の一本道を、三輪タクシーに揺られながら、この地に3年近くも駐留していた日本の兵隊さんたちは、この温泉に浸かったのであろうか、と70数年前の若い兵士たちが裸で戯れている残像を想像した。
温泉に浸かった後の解放感もあったであろうが、日本の田舎に似たような田園風景に、何とも言われない郷愁に駆られながら三輪車に揺られてホテルに戻った。