ミャンマー北部探訪③ チャイントンの街
タチレイの町から約160キロ北のチャイントンまで、バスで4時間余りかかった。
チャイントン郊外のバスターミナルに着いたが、一般的に外国旅行者が訪れることは出来なかった町なので、町に関する情報はない。ミャンマーはイギリスの植民地であったので、老人に英語が話せる人が多い。
いろいろ尋ねていると、英語がよく話せる中年の男がやってきて、「外国人が泊まれるホテルを知っている。オートバイで案内する」と、小型トラックのタクシーに乗ってついて来いと言う。
案内されたのは、中心街の“Golden World Hotel”であった。
ホテルの隣にある食堂で遅い昼食をとる。この店の壁には漢字が書いてある。ここから中国との国境の町モングラまでは約80キロ、車で3時間だそうだ。店で食事をしていた40代の男2人の客は漢語を話していた。中華人民共和国に近い町なのだ。
ここは越系民族の末裔シャン族の住むシャン州。シャン族はもともと中国大陸東南部に住んでいたが、徐々に移動してきた民族で、隣国のタイ族とほぼ同じ民族。
標高787メートルにあるチャイントンは、なだらかな山岳地帯の町で、人口20万。ノントウン湖を中心とした高原の町なので朝晩は涼しい。
ホテルでもらった地図を頼りに歩く。まず、ホテル近くのマハーミヤツ・ムニの寺院を見る。屋根は褐色で、壁は黄色の立派な寺院。丘の上のワット・ジョンカムを見た後、周囲の丘に囲まれた、低地のノントウン湖に下りた。周囲4キロくらいの小さな湖だが、湖畔には西洋風の立派な住宅が立ち並んでいる。湖には水垢が漂っているし、濁っているのでお世辞にもきれいとは言えないが、周囲の建物が水面に映えて、絵葉書のような美しい光景。
町中には仏教寺院が多いが、イギリス植民地時代の布教によるキリスト教徒もいるので教会もある。
町が一望できる丘の上に登り、山に囲まれた平和郷のような町を見ながら歩いていると、金色に輝く大きな仏像があった。立ち上がって右手で指差している仏像は珍しいので、近くにいた老人に尋ねると、平和・悟りを示しているのだと言った。戦争の多かった多民族社会の平和を祈念する象徴的な仏像なのだろう。この町には旧日本軍も一時駐屯していた。