ミャンマー北部探訪㉔ プーターオの高床式住居
プーターオではシャン族のディンゴ君(31歳)が、日本製の車パジェロで2日間案内兼通訳をしてくれた。
私は、いろいろな民族の住んでいる様子を見たかったので、彼に頼んでまず村々を訪ねることにした。彼は、プーターオから南へ10数キロ離れたマチャンボ地域まで行くことに同意し、午前11時半過ぎにホテルを出発した。
まず最初のミタンの村へは12時15分に着いた。ここにはミズー族が住んでいるそうだ。次のナンパー村もミズー族。12時25分に着いたナムカイ村には、ミズー族、シャン(タイ)族、ジンポー(カチン)族が混住しているそうだ。
12時30分に着いたマチャンボ村には、約5000人のジンポー(カチン)族が住んでいるそうで、かなり大きな村であった。この辺からはもうプーターオではなく、マチャンボ地区になる。
午後1時、水のきれいなムニカ川沿いのナムカイ村に簡易食堂があり、ビーフンのスープメンを500チャット払って食べる。
午後1時半にジンポー族のブンボー村、そしてすぐ近くのワイポ村に着いた。車を止めて眺めただけで通り過ぎ、1時47分にはナムカム村に着いた。ここにはラワン(ロワン)族が約1400人住んでいるそうだ。
外国人はこの村から遠くへは行けないと言うので、彼の案内で村を歩いて見ることにした。村の家は全て高床式だが、竹製と板製の2種類ある。屋根はトタンもあるが、“チンゴ”と呼ばれるパームヤシのようなヤシの葉で葺いている。トタン屋根は長持ちするが、家の中が夏は熱く、冬は寒くなる。昔からのチンゴは長持ちしないが、夏は涼しく、冬は暖かいので村人には好まれる。しかし、葺き替えに手間が要るので、若い人はトタン屋根にしたがるそうだ。
この辺の村では、6月に稲の苗を植えて、10月から11月初めにかけて収穫するそうで、田の近くや屋敷の中に“サパティ”と呼ばれる米倉があった。1月には、稲株が残る田園が広がっているだけであった。
ナムカム村からの帰り道、ムニカ川を渡ったすぐの村“マンコ”には、300人ほどのシャン族が住んでいた。その近くのドロンバン村にはラワン族が住んでいると説明されたが、ラワンとシャンの家は殆ど同じ型で、人も同じように見えたが、ディンゴ君によると女性の衣服や言葉使いが違うのですぐ分かるそうだ。
いろんな民族の村を見たが、私には家も人も区別がつかなかった。家は全て高床式で、何が違うのかよく分からないままだった。
帰りにプーターオへの別の道を通って、途中マリカ川沿いにある、この地方で最も古い黄金色のカムロン・パコタを見物した。ここから川の遥か彼方に雪を被った高い山が見えた。
プーターオに戻って、マナウの開催場所に案内された。5本が並んでいるマナウ用の柱(ムノーダイ)に、大きなサイ鳥の木彫が横たわっていた。オチンと呼ばれる大サイ鳥は、一度つがいになると、ずっと寄り添っているので、幸運に恵まれる鳥だそうだ。
午後5時半頃ホテルに戻り、プーターオの一日が終わった。