地球へめぐり紀行

新制中国の望郷編

ユーラシア大陸横断鉄道の旅㉘ カザリンスク→ウラリスク

 5月8日、午前9時に車内放送が始まった。現地時間に合わせて放送が始まるので、昨日は8時だった。1日の北西に向かう走行距離約1000キロで1時間ずっと遅くなる。カザク共和国の時間は、中国とは1時間、ロシアとは3時間の時差がある。

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アクチュビンスク近く

 すでにウラル山脈の南端に入り、麦畑が広がっている。このあたりはカザク共和国の大穀倉地帯で、農業用の軽飛行機やヘリコプターなどが駐機し、機械化が進んだ大規模農業。窓を開けて撮影していると、車掌に注意された。

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アクチュビンスク駅の穀物を運ぶ大型ワゴン

 午前9時10分、ウラル山脈の南端の標高500メートルほどにあるアクチュビンスクに着く。約30分停車するので、多くの乗客がプラットホームに降りて朝食用の食材を買う。

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アクチュビンスク駅に留まっていた小石を運ぶ長い貨車

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アクチュビンスク駅の売店

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アクチュビンスク駅のプラットホーム

 プラットホームの売店を撮影した途端、女車掌ナジャクか大きな声で「ニエッ、ニエッ」と叫んで駄目だという。私の行動を監視しているのか、なかなか厳しい。プラットホームにも線路上の横断橋にも警官が数人ずついる。治安がよくないのだろうか。

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アクチュビンスク駅で買い込んだ食糧

 アクチュビンスクを過ぎて11時頃には空がどんより曇ってきた。まだあちこちに残雪があり、北緯50度を越え、樺太(サハリン)中央部に位置するので、空気がひんやりしている。樹木は芽吹いたばかりで、遅い春がやっと訪れかけた様子。

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線路沿いの村

 午後1時、雪でも降りそうな雲行きで、日本の3月中旬のような気配。大地には、やっと芽吹いた黄緑色の麦が伸び始めている。

 線路沿いに三重に植えてある防風林が数キロにわたって立ち枯れしている。ウラル山脈南部にはさまざまな実験場があるので、外国人はウラル地方を通る列車に乗せなかったとも言われている。この樹木の立ち枯れは、何か化学的反応によるのではないだろうか。

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線路沿いの枯れた防風林

 線路はカザク共和国から北に出て、しばらくロシア共和国内を走り、午後1時30分、ソリイレック駅に着く。ここから5,60キロ北には、ウラル山脈南部の大きな町オレンブルグがある。列車はソリイレック駅を出ると徐々に高地を下って、平地を西へ進む。

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ソリイレック駅のプラットホームでの売り子たち

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ソリイレック駅

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ソリイレック駅で食料を売る婦人たち

 午後2時15分、食堂車へ行く。がら空きで誰もいない。食べ物は味も悪くないし、今はまだ涼しいので腐る心配もないのに、利用者が少ない。私一人なので、女給のタマラのサービスが過剰気味で、アルマ・アタの住所や電話番号まで私のメモノートに書いてくれた。

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食堂車での食べ物 飯はカザク米

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女給のタマラさん

 午後3時過ぎには低地に下り、再びカザク共和国に入って明るい平原を走る。畑の麦はもう青く伸び、緑の平原が続く。

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緑の平原の放牧地

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ロシアからカザク国へ再入国した最初の駅カザクスタン

 午後4時半、無名の小さな駅で、赤いトレンチコートにハイヒールを履いた若い金髪の美女が乗り込んできた。彼女は通路に立ち、時々窓に寄り添ったり、壁によりかかったりして、窓外を眺めているだけ。

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無名の駅

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名駅から乗り込んできたトレンチコートの美女

 午後6時20分頃、小さな町ウルスクに着いた。彼女は、小さな手荷物を1つだけ持って降りて行った。窓外の平原には、赤・ピンク・黄・白色などの野生の小さなチューリップの花が咲きみだれていた。

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車内での筆者


 6時35分、ウラル川沿いの町ウラリスクに着く。カザク共和国最後の停車駅。カメラを持ってプラットホームに降りようとすると、降り口に立っていた車掌にカメラの携帯を禁じられたが、駅舎を密かに撮影した。

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ウラリスク駅のプラットホーム

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ウラリスク駅

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ウラリスク駅舎

 午後8時5分、カザク共和国側の国境の小さな町、シボア駅に着く。客が降りることも乗ることもなく直ぐに発車し、何のチェックもく出国した。そして、8時50分に、ロシア共和国側の町、アジンカ駅に着いた。モスクワ時間ではまだ午後6時前であった。

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ウラル河

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カザク共和国最後のシボア駅

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列車はカザク共和国を出てロシア共和国に入る

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車内の通路で休む筆者