古き良き時代のオセアニア オーストラリア⑤

ホンダイ・ビーチ

 私が、シドニー郊外の南太平洋に面したホンダイ・ビーチにやって来たのは、1968(昭和43)年12月29日の日曜日であった。日本は真冬であったが南半球のシドニーは真夏であった。

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シドニー郊外ののボンダイビーチ

 数キロもある長い砂浜の彼方には、まるで絵を見ているようなカラフルな家々が建ち並ぶ丘がある。空は青く晴れわたり、海も碧い。色とりどりの水着がまるでモザイクのように敷き詰められている。

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セーリングボート

 青い空、碧い海、褐色のレンガ造りの壁、柿色の屋根瓦、サラサラした灰褐色の小さな砂があふれるビーチ、燦燦と降り注ぐ太陽、快い潮風、のびのびと半裸で日光浴をする美しい乙女たち、寄せる波、波間に歓声を上げるサーフィンの若者たち、それらすべてが私のイメージになかったホンダイ・ビーチだった。

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若いカップ

 私はホンダイ・ビーチに立っていた。広かった。青かった。誰も変な目で見なかった。バスタオルを頭に巻いて歩いた。日光が強かった。潮の香りが漂った。誰かが通りがかりの私にキックボールをよこした。

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強い日差しに肌を焼く女性たち
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日焼けした肌の女性

 「ハーイ、そのボール向こうの人に投げてやって、その人にやっては駄目、早くして」

 私はいつの間にか彼らのボールゲームの中に入っていった。バスタオルはどこに落としたのか分からなかった。

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砂浜に寝そべる少女たち

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白い砂浜の少年たち

 「じゃ、また」

 「シー・ユー」

 若者たちはまたボールを投げ合っていた。どこかが楽しかった。頭の中か、足の裏なのか、ハートの中か、血管の中か、目か、鼻か、耳か、口か、髪の毛か、そんなこと分かりやしない。全部なのかもしれない。

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サーフイン・ボードを持つ少年たち

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青い海でサーフインをするヒットたち

 シドニーでよく素足で歩く若者を見かけた。素足は北欧のヘルシンキストックホルム、それに太平洋の真ん中のハワイだってよく見かけたので、別に珍しくも不思議でもない。

 素足を文化のバロメーターとする見方はないようなので、彼らは気軽に素足になって歩く。中にはサンダルや靴を手にして歩く者もいる。

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素足の少女たち

 すべてがどこか調和している。ピカソの抽象画を見てもわからないが、なんとなく斬新で、ユーモアがあって、バカバカしくて、実に単純なのだが、面白い。それらを1つ1つ取り上げてもちっとも良くないが、カメラのシャッターのように、サッと映る映像がとっても美しいのだ。

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海岸近くで撮影を要求した少女たち

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 夕方のホンダイ・ビーチを、日焼けした人々がバスタオルなどをアミカゴに入れ、三々五々と散っていった。あとには静かな夕焼けが押し寄せる波にきらめく、チリ1つない砂浜が残った。