赤褐色の火焰山(1990年8月)
私は、1990年8月に新疆ウイグル自治区のトルファンを訪れ、火焰山を見た。トルファン盆地にある火焰山は、草木の生えていない、南斜面の凹凸の襞が多い赤褐色の岩山。
周りを丘や岩山に囲まれたトルファン盆地の、一番低いところは海面下150メートル。そのため大変暑く、しかも乾燥している地域なので、摂氏40℃を超えることさえある。
40℃を超える時の地表温度は摂氏70℃にもなるので、火焰山のように南斜面で山肌に沢山の襞があると、轓射熱によってさらに高温になり、山が燃えるようにかげろうが立つ。
強い日差しに映える赤褐色の火焔山は、その名の如く燃える岩山で、草木一本も生えていない奇観。
孫悟空で有名な、明時代の白話小説『西遊記』には、孫悟空が、芭蕉扇を借りてここを通ろうとして、牛魔王や鉄扇公主と戦うくだりがある。
午後2時から4時頃の暑い盛りの火焔山は、かげろうが立ち昇り、まるで生き物のようにうごめき、その表情を変え、まさしく燃える山、火焔山の様相となる。