新制中国の望郷編① 山東省 蓬莱市
蓬莱市は、山東半島の北部に位置する煙台市から北西約74キロに位置し、北は渤海、南は黄海に面しており、黄渤海分界線がある。
蓬莱は、古代において秦の始皇帝が訪れ、前漢の武帝が築城したと言われる町で、古くから知られていた所。蓬莱の沖合には時々島のような蜃気楼が見える。人々は、それを“蓬莱山”と呼んでいた。
蓬莱とは、中国の古い伝説で仙人が暮らす所とされている。中国語では、海面から突き出た島を“山”と表現する。蓬莱山とは、東海の仙人が住む島として知られていた。そのため、秦の始皇帝がこの地を訪れたと言われている。
中国大陸東部の東シナ海に面した海岸地帯に、古くからあった“神仙思想”は、不老不死の仙人の実在を信じ、人、自らが仙人となることを願ったり、仙人の行状や仙境のありさまなどを空想したりすることであった。
神仙道の修行者である“方士”であった徐福は、始皇帝から不老不死の“仙薬”を捜すように命じられた。徐福が仙薬を求めて最初に東海に向かって出発したのが、ここ蓬莱の港であったとされている。
北宋時代の1061年には、海に突き出た丹崖山に、蓬莱閣が創建され、東海に仙人が暮らす蓬莱山が存在するという、蓬莱山思想を一層盛り上げるようになり、蓬莱の町を有名にした。蓬莱山思想は、古くから日本にも伝来している。
2022年3月11日追記